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【枝調子】
古代中国では、理論上、84もの調がありました。そのうち12の調子が日本に伝わりましたが、その後、六調子に整理されました。吸収された調子は、六調子に対して「枝調子」と呼ばれ、壱越調の枝調子には「壱越性調(いちこつしょうちょう)」と「沙陀調(さだちょう)」が、平調には「性調(しょうちょう)」と「道調(どうちょう)」が、黄鐘調には「水調(すいちょう)」が、太食調には「乞食調(こつじきちょう)」がありました(※参考:狛近真著『教訓抄』)。
【調子の姿】
古人は、それぞれの調子のイメージを事物に例えました。たとえば、豊原統秋著『体源抄』には、次のように記されています。
○平調は、春風に柳の倒れかかるごとくこれを吹くべし。
○盤渉調 何に例えつべくもなし。ただ静かに延べて吹くべし。いずれよりも、この調子を延べて吹くべし。
○黄鐘調は、銚子に澄みたる酒を入れたるを見るがごとし。
○太食調は、板敷きの下にてコトヒノ牛の角突きをするがごとし。
○壱越調は、明障子に砂をうつがごとし。
○双調は、秋草の花咲乱れたる中に幽玄なる男、大口ばかりにて優し気ながら刀を差し、柄を握りて立つごとく吹くべし。
【雅楽の世界観】
六調子は、古代中国の世界観である「陰陽五行(いんようごぎょう)」と深い関わりがあり、それぞれに対応する季節、音、色、方角などが決まっています。この考え方は、季節に応じた調子を選ぶなど、実際の演奏に際しても用いられてきました。これについては、平安時代の『管絃音義』という書物に記されているものが有名ですが、ここでは『教訓抄』の一節を引きます。
「時の音というは、
春は双調 東方 木音 青色
夏は黄鐘調 南方 火音 赤色
秋は平調 西方 金音 白色
冬は盤渉調 北方 水音 黒色
壱越調は中央 土音 黄色 若紫色
これを五音というなり。〈中略〉次に六調子というは、先の五音に太食調を加えたるなり。平調と同じ音なり。ただ呂律の音に相違あり」
太食調は平調と同じ音を主音とするので、同じとみなされています。ただ、陰と陽のバランスを考えた場合、五音のままだと、呂旋が壱越調、双調の二つ、律旋が平調、盤渉調、黄鐘調の三つとなってしまうので、呂旋である太食調が加えられたとのことです。
【高麗楽】
高麗楽には、「高麗壱越調(E)」「高麗平調(G)」「高麗双調(A)」の3調子があります。高麗笛の音程は龍笛より1音ずつ高いため、各調子も、唐楽のそれに対し、1音ずつ高い音を宮音としています。
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