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舞楽には、「右舞(うまい・右方)」と「左舞(さまい・左方)」があります。違いを簡単に説明すると、左方は中国経由伝来曲(唐楽)のスタイルで、舞台左側から舞人が登場し、右方は朝鮮半島経由伝来の曲(高麗楽)風で、舞台右側から舞人が登場します。今月の一曲「還城楽」は、その両方、左方にも右方にもある舞楽です。 還城楽は、唐楽曲で、太食調、中曲、早只八拍子(はやただやひょうし)、拍子十八、古楽。林邑楽(りんゆうがく)系に属する。 舞人が舞台に登場する前に、龍笛の独奏で小乱声(こらんじょう)が奏されます。つづいて陵王乱声(りょうおうらんじょう)。打物だけで始まり、龍笛の追吹き、それが止んで打物の演奏をバックに舞がつづき、吹き止め。還城楽音取(ねとり)。さらに当曲(還城楽)を奏して、龍笛の安摩乱声(あまらんじょう)で退出する、そのような構成になっています。右方、左方のちがいは、この当曲部分で、左方は只拍子、右方は夜多羅拍子(やたらびょうし)で舞われる点です。
舞の見所は、当曲にもありますが、陵王乱声にもポイントがあります。ドン、ドン、ドン、ドンと太鼓、テンテン、スッテンテンと羯鼓(あるいは三ノ鼓)が同じパタンのリズムを演奏します。そのリズムにのって舞人が登場、舞台を回転しながら舞を続けます。そのうち、舞台中央にとぐろを巻いた木製の蛇の模型が運び込まれます。舞人がこれを見つけて大喜びします。そこで、それまで鳴り続いていたリズムのパターンが変わります。これを「鹿婁(ろくろ)」と呼びます。この部分が見所。そしてそのクライマックスで、音取、つづいて当曲が舞われます。 同一曲が、右方にも左方にもあるという舞楽曲には、この番舞「抜頭(ばとう)」が有名です。「還城楽」同様、右方は夜多羅拍子、左方は只拍子で舞われます。また、陪臚(ばいろ)は管絃では唐楽、只拍子で演奏されますが、舞楽は右方に属し、夜多羅拍子で舞われます。夜多羅拍子で演奏される舞楽は必ず右方かというとそうでもないようです。「蘇莫者(そまくしゃ)」は管絃では只拍子、舞楽は夜多羅拍子で舞われますが、左方の舞楽に属すると考えるのが一般 的です。 (by やまさん) |
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