蘭陵王(らんりょうおう)

「陵王(りょうおう)」とも呼ばれます。 舞楽の中ではよく演じられる曲で、神社や演奏会などで見たことのある人も多いのではないでしょうか。

【曲の由来】

 むかし、中国に「北斉(ほくせい)」(549〜577)という国がありました。 その国に長恭(ちょうけい)という王がいたのですが、あまりに顔が美しく、 戦場で兵士の士気が上がりませんでした。そこで長恭は、 いかめしい仮面を付けて、戦の指揮をとりました。すると、そのかいあって大勝利を得たのです。 これを喜んだ部下たちが作ったのが、この舞であると伝えられています。
 よくみると、面の頭には龍が付いていて、どことなく日本の戦国時代の兜(かぶと)にそっくりです。

【曲の伝来】

 奈良に唐招提寺(とうしょうだいじ)というお寺がありますが、 そこへ林邑(りんゆう)の僧・仏哲(ぶってつ)が伝えた曲の一つといわれています。 林邑というのは、ベトナム地方一帯、または昔の王国の呼び名です。

【衣 裳】

 身につけている衣裳は、左方裲襠(りょうとう)装束といいます。 裲襠には前後に龍の刺繍が二つ施してあります。また、裲襠と袴は散雲模様です。 総絹地に手刺繍で施され、きらびやかに見えます。 衣裳全体の色合いは赤が中心で、これが左方の装束の特徴です。

【舞ぶり】

 この舞楽は、入場・当曲・退場とういう形式で構成されています。 勇壮華麗な走り舞です。入場は、舞台に出ることから、 「出手(でるて)」と呼び、逆に退場は「入手(いるて)」と呼びます。
 特に出手には、この曲にしかない「囀(さえずり)」という無音の舞手・パントマイムがあります。 これはなかなか見ることはできませんが、唯一必ず見られるのは、 春日大社(かすがたいしゃ)の若宮の御祭り、12月17日の夕刻の御旅所での舞です。 昔は舞手は笠置侃一先生でしたが、いまは若手の人が舞っています。 機会があれば是非ご覧になるといいでしょう。(by きっさん)

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